Column コラム

虫歯予防における唾液検査の重要性について

こんにちは、宇部TCデンタルクリニック院長の田中隆之です。

皆さんは唾液検査についてご存じでしょうか?

唾液検査とは、現在の口腔内の唾液の状態・性質をチェックし、口腔ケアの指標にしていくための検査です。
ただやみくもにお口の中を歯科医院でクリーニングしてもいつの間にか歯を失っていたという方もいらっしゃると思います。
そのようなことにならないために、まず患者様ご自身がどのようなリスクを抱えているかを知るのが大事だと思います。

虫歯予防において、唾液は非常に重要な役割を果たしており、唾液検査は口腔の健康状態を知るための有効な手段です。

まず、唾液の役割について説明します

唾液の役割

  1. 口腔内の酸性環境の中和
     唾液は口の中の酸を中和する働きがあります。酸が強すぎると、歯のエナメル質が溶けやすくなり、虫歯が進行しやすくなります。唾液のpHを維持する力が強ければ、虫歯のリスクを低減できます。
  2. 食べ物のカスや細菌の洗い流し
     食後、口の中に残った食べ物のカスや細菌は、唾液によって洗い流されます。唾液の分泌量が少ないと、これらが口内に残りやすくなり、虫歯のリスクが高まります。
  3. 再石灰化の促進
     唾液にはカルシウムやリンなどのミネラルが含まれており、これらは歯のエナメル質を再石灰化して強化します。再石灰化が進むことで、初期段階の虫歯を自然に治癒する助けとなります。
  4. 抗菌作用
     唾液には抗菌成分が含まれており、口腔内の細菌の増殖を抑える役割を果たします。これにより、プラークの形成や虫歯の進行を防ぎます。

唾液検査の必要性

唾液検査は、患者さんの唾液の質や量、pH(酸性度)、緩衝能(酸を中和する力)などを評価することで、虫歯のリスクを把握するのに役立ちます。以下の理由から唾液検査は虫歯予防において重要です。

  1. 個別のリスク評価
     唾液の量や質は個人差が大きく、それによって虫歯になりやすさも異なります。唾液検査を行うことで、患者さん一人ひとりの口腔内の状態を把握し、それに応じた予防計画を立てることができます。
  2. 早期の予防対策
     唾液のpHが低い、唾液分泌量が少ないなどのリスクが見つかった場合、フッ素塗布や洗口液の使用、投薬など、早期の対策を講じることができます。これにより、虫歯の発生を未然に防ぐことが可能です。
  3. 治療計画の最適化
     唾液検査の結果に基づいて、歯周病のリスクが高い場合には、定期的なクリーニング・歯周病の進行度のチェック・ホームケアでのアドバイスを強化するなど、より効果的な治療計画を立てることができます。
  4. 唾液中の細菌の培養
     唾液中の細菌を培養・同定することで口腔内に虫歯の菌が多い方か?歯周病の菌が多い方か?を判別します。患者様のリスク因子を特定できます。

唾液分泌量が少ない場合の対応

唾液分泌が少ない場合は、口腔乾燥症(ドライマウス)のリスクが高まり、それが原因で虫歯や歯周病が進行することがあります。これに対しては、次のような対策が有効です。

  • 水分を十分に摂取する。
  • キシリトール入りのガムを噛むなど、唾液分泌を促進する方法を取り入れる。
  • 専用の唾液代用品や保湿ジェルの使用を検討する。

まとめ

唾液は自然な防御機能として虫歯予防に貢献しており、唾液検査はその能力を測定するための重要なツールです。唾液の質や量、酸中和能力などを把握することで、虫歯リスクを評価し、個々に応じた適切な予防策を講じることが可能になります。定期的な唾液検査を通じて、口腔の健康を守りましょう。